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千年の京都に出会う~下鴨神社糺能保存会~
糺能(ただすのう) — 下鴨神社・糺の森を舞台に行われる能の祭事

サスティナビリティ

 糺能(ただすのう) 

  1. ~世界文化遺産の森で、世界文化遺産の能楽を~

 

千年の文化と出会う旅へ

千年の都・京都は、四季の移ろいとともに姿を変えながらも、文化の根を静かに守りつづけてきました。

旅人が京都を歩くとき、そこで触れるのは景観や伝統だけではなく、人々が紡いできた営みと、素材の一粒にまで宿る“文化の時間”です。

 

本特集「千年の京都に出会う」では、“目に見えにくい文化の継承”に正面から向き合う事業者を訪ね、リジェネラティブ・ツーリズムの本質──地域と共に未来を育む姿──を探ります。

 

今回訪れたのは、下鴨神社糺能保存会が主催する糺能(ただすのう)

 

京都・下鴨神社の舞殿で行われる「糺能(ただすのう)」は、
森の中で上演される特別な能の催しです。

 

夕暮れの糺の森にかがり火が灯ると、笛や鼓の音が静かに響き、観客は自然と芸能がひとつに溶け合う瞬間を体験します。

 

この催しは、約五百五十年前に行われた「糺河原勧進猿楽」をもとに復興されたものです。

2015年の下鴨神社式年遷宮を機に再び上演され、現在では葵祭の後に行われる恒例行事として定着しています。

 

葉の音や鳥の声、薪のはぜる音までもが舞台の一部となり、能そのものが自然と呼応するように進んでいきます。

糺能は、人と自然が共に息づく時間を描き出す祭事であり、能の原点にある「祈り」の姿を静かに思い起こさせます。

 

そしてその根底には、森と人が調和するこの土地ならではの世界観が息づいています。

 

次に、その糺能の魅力をさらに詳しく見ていきます。

京都の中心に広がる古代の森

「糺の森」は、京都市内に位置する約12ヘクタールの原生林です。縄文時代からの植物が今もなお息づく、まさに「生きたタイムカプセル」ともいえる存在です。この森には、世界遺産である賀茂御祖神社(下鴨神社)の境内があり、日本人が古くから自然を敬い、大きたことを象徴しています。

 

 

 

神社の森がもつ意味

日本の神道では、自然のあらゆるものに神が宿ると考えられてきました。村の近くに森を残す「鎮守の森」は、人と自然をつなぐ大切な場所とされてきました。糺の森もその一つで、千年以上にわたり、人の手が過剰に加わることなく、都市の中で守られてきました。

 

 

 

「糺能」――森と調和する芸能

「糺能」は、糺の森を舞台に行われる能の祭事です。極力電気を使わず、舞殿の電灯とかがり火の灯りだけで演じられます。

お囃子が止むと、かがり火の薪がはじける音や雨音が聞こえ、芸能が自然のリズムに溶け込んでいきます。

取材当日はあいにくの雨天となりましたが、祭事は決行されました。雨が葉を打つ音は新たな“自然の楽器”となり、囃子や謡とともに独特の音の風景を生み出していました。

 

 

 

多様な生命への敬意

日本語の「八百万(やおよろず)の神」という言葉には、あらゆる生命や自然現象に神が宿るという考えが込められています。「糺能」では、演者がまるで森そのものの声を代弁するかのように舞い、観客は自然と人間の境界が溶けあうような瞬間を体験します。

 

 

 

「間(ま)」の文化を未来へ

「糺能」は、人間が自然に寄り添い、静けさに耳を澄ませるという、日本独自の感性を表現しています。人工的な光や音を極力使わず、90分間、暗闇と静寂の中で過ごすことで、都市生活の中で失われがちな「間(ま)」の感覚を取り戻すことができます。

糺の森を訪れ、「糺能」に身をゆだねることは、自然と人間の調和を改めて見つめ直し、未来に向けた私たち一人ひとりの責任を静かに受け止める、貴重な機会となるでしょう。

 

 

 

利用概要

公式サイトは、こちらから:https://tadasu-noh.jp/

(※2026年の販売開始はしばらくお待ちください)

 

 

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