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■イベントレポート■
糺能(ただすのう)

サスティナビリティ

 糺能(ただすのう) 

  1. ~世界文化遺産の森で、世界文化遺産の能楽を~

 

皆様、「糺能」を ご存知でしょうか?

「糺能」とは、今から約550年前の寛正五年(1464)に将軍足利義政をはじめとする錚々たる大名の前で行われた「糺河原勧進猿楽」を、賀茂御祖神社第34回式年遷宮(2015)の折に550年ぶりに再興させたものです。賀茂御祖神社・舞殿(重要文化財)を舞台とした野外能で、2019年には令和の御大典を記念し、賀茂祭(葵祭)の後儀として「糺能」と改め、毎年開催してまいりました。

賀茂御祖神社では、2100年前から遷宮が始まり、令和18年(2036)斎行の遷宮にて第60回目となります。さらに後一条天皇の宣旨により遷宮の制度が20年毎の式年として第1回目が長元9年(1036)4月13日に斎行されてより、第35回式年遷宮にて一千年の佳節となります。

 

 

この度、『水と森と人が調和する「糺能」の魅力』というテーマで、糺能について伺ってまいりました。京都ならではの奥深さを感じていただければ幸いです。

このプランの特徴

  • 京都の中心に広がる古代の森

    京都の中心に広がる古代の森

    「糺の森」は、京都市内に位置する約12ヘクタールの原生林です。縄文時代からの植物が今もなお息づく、まさに「生きたタイムカプセル」ともいえる存在です。この森には、世界遺産である賀茂御祖神社(下鴨神社)の境内があり、日本人が古くから自然を敬い、大切にしてきたことを象徴しています。

  • 神社の森がもつ意味

    神社の森がもつ意味

    日本の神道では、自然のあらゆるものに神が宿ると考えられてきました。村の近くに森を残す「鎮守の森」は、人と自然をつなぐ大切な場所とされてきました。糺の森もその一つで、千年以上にわたり、人の手が過剰に加わることなく、都市の中で守られてきました。

  • 「糺能」――森と調和する芸能

    「糺能」――森と調和する芸能

    「糺能」は、糺の森を舞台に行われる能の祭事です。極力電気を使わず、舞殿の電灯とかがり火の灯りだけで演じられます。

    お囃子が止むと、かがり火の薪がはじける音や雨音が聞こえ、芸能が自然のリズムに溶け込んでいきます。

    取材当日はあいにくの雨天となりましたが、祭事は決行されました。雨が葉を打つ音は新たな“自然の楽器”となり、囃子や謡とともに独特の音の風景を生み出していました。

  • 多様な生命への敬意

    多様な生命への敬意

    日本語の「八百万(やおよろず)の神」という言葉には、あらゆる生命や自然現象に神が宿るという考えが込められています。「糺能」では、演者がまるで森そのものの声を代弁するかのように舞い、観客は自然と人間の境界が溶けあうような瞬間を体験します。

  • 「間(ま)」の文化を未来へ

    「間(ま)」の文化を未来へ

    「糺能」は、人間が自然に寄り添い、静けさに耳を澄ませるという、日本独自の感性を表現しています。人工的な光や音を極力使わず、90分間、暗闇と静寂の中で過ごすことで、都市生活の中で失われがちな「間(ま)」の感覚を取り戻すことができます。

    糺の森を訪れ、「糺能」に身をゆだねることは、自然と人間の調和を改めて見つめ直し、未来に向けた私たち一人ひとりの責任を静かに受け止める、貴重な機会となるでしょう。

利用概要

備考

公式サイトは、こちらから:https://tadasu-noh.jp/

(※2025年は終了しております)

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